防犯カメラを設置する理由として多くあるのは、「何か問題が起きた時のために映像として記録をして証拠を残しておきたい」というものです。しかし、防犯カメラで撮影した映像が本当に証拠として利用できるのでしょうか?

そこで今回は、防犯カメラの映像が訴訟の際に証拠として利用できるのか、証拠として利用できない4つのケースについても解説していきます。

 

防犯カメラに証拠能力はあるのか?

【刑事訴訟の場合は証拠にならないケースが多い】

刑事訴訟の場合であると、防犯カメラの映像を証拠として利用するにはルールが定められています。ですので、刑事訴訟において防犯カメラの映像の扱いとしては、「どんなものでも証拠能力があるわけではない」というものになります。防犯カメラの映像を証拠として利用するには、しっかりと問題がないかを認められた上でないといけないので、証拠にはならないケースが多いです。

 

【民事訴訟であれば証拠能力あり!】

一方で民事訴訟であれば、防犯カメラの映像は証拠能力がある、言い換えると「証拠として利用することができる」とされています。民事訴訟において証拠能力は基本的に無制限であり、どんなものであっても証拠能力があると言われています。

 

防犯カメラの映像が証拠にならない4つのケース

【映像が鮮明でない】

防犯カメラの映像であったとしても、映像が鮮明でない、つまり映像の解像度が低いと犯人の顔や現場の様子を特定できない場合があります。そのような場合であると、証拠としては不十分とみなされてしまい、証拠として利用できない可能性があります。

 

【日時が記録に残っていない】

いつ撮影された映像であるのかが不明瞭な場合であると、犯行の日時をしっかりと特定することができません。そのような場合であると、犯行の日時を裏付けることができないため、証拠能力が低いとみなされ利用することができない可能性があります。

 

【固定のカメラで撮影された映像でない】

防犯カメラが固定されておらず、スマホや手持ちのカメラで映した映像の場合、日付とや時間などの記録が残っておらず、証拠にならないケースがあります。固定の防犯カメラで24時間撮影しておくのがベストでしょう。

 

【プライバシーに違反して収集した映像である】

他人のプライバシーを著しく損害しているような撮影方法で撮られた映像であると、証拠として取り合ってもらえない場合があります。そのような場合は、証拠として利用できません。

 

防犯カメラにおける証拠能力の4つの高め方

【画質の良い防犯カメラを使う】

先ほど説明したように、防犯カメラの映像が鮮明でない場合、証拠として利用することができないケースもあります。そのようなことにならないように、防犯カメラは画質が良いものを使用するようにしましょう。しっかりと防犯カメラとして機能させるために、その点は注意しましょう。

 

【日時が残る防犯カメラを設置する】

日付の残らないカメラ(スマホなど)でその瞬間だけ撮影した映像であると、「結局何年何月の何時の映像なの?」と警察に指摘され、断られた事例があります。ですので、防犯カメラの記録にしっかりと日時の記載がされるカメラを設置しましょう。

 

【防犯カメラデータを保存しておく】

毎日防犯カメラで撮影をしていくと、映像の記録がどんどん溜まっていきます。そのようにデータ量が膨大になると、証拠になるような映像が埋もれてしまったり、削除されてしまったりする可能性があります。

そのようなことが起きないように、しっかりとデータを保存しておくようにしましょう。問題が起きた日のみでなく、その日の前後の映像についても証拠となる映像が含まれる可能性もあるため、しっかりと保存をしておきましょう。

 

【音声を録音できる防犯カメラを使う】

口論や罵声などのトラブルがあり得るような場所に設置をする場合は、音声の記録が証拠になる可能性があります。例えば、店舗・歯医者・飲食店・商談する場所などであると、録音機能のついた防犯カメラを設置しましょう。これにより、言った言わないといったトラブルを防止することにつながります。

違法にならないための防犯カメラの設置方法

防犯カメラを設置しても、違反になってしまい証拠として利用できないというケースもあります。そのようなことにならないようにはどのように設置をすればいいのでしょうか。ここでは、具体的に違反にならないために気をつけるべきことを解説していきます。

【隣の家を映さないようにする】

自宅のみを映しているつもりであっても設置した場所が悪く、常時隣家が映り込んでしまっているような向きで防犯カメラを設置してしまうと、違反になる可能性があります。常にカメラに映されていると、監視をされているように感じ、不快に感じてしまう場合もあります。どうしても設置したい場所に設置すると隣家が映ってしまう場合は、隣家に事情を説明して合意をしてもらうようにしましょう。

 

【人の出入りが多い場所には設置をしない】

日常的に人の出入りが激しいような場所に防犯カメラを設置してしまうと、通行人が映ってしまう可能性がとても高くなります。プライバシー侵害として訴えられてしまうと、違法になる恐れもあるので、日常的に人が多く通行するような場所には設置をしないようにしましょう。

 

【防犯カメラ設置中というステッカーを貼っておく】

事前に防犯カメラ設置中というステッカーを、防犯カメラを設置した場所の近くに貼っておきましょう。そのように防犯カメラが設置されているということを事前に周知しておくことによって、後々プライバシー侵害で訴えられることは少なくなります。

 

まとめ

防犯カメラは刑事訴訟であると証拠になる場合は少ないですが、民事訴訟の場合であると証拠として利用できる場合が多いです。また、防犯カメラの設置方法によっては違反・違法になってしまう場合もあるので、しっかりと注意をして設置をする必要があります。

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