防犯カメラがプライバシー侵害になる場合

 

防犯カメラを設置している際に必ず浮上する疑問があります。それは、「防犯カメラって、プライバシー侵害にならないの?」というものです。

結論から言うと、防犯目的でしたら防犯カメラの設置はなんらプライバシー侵害ではありません。ですがカメラの映像が設置した家の敷地内以外、つまりご近所の敷地内やご近所の方を監視できる範囲を映していた場合はプライバシーの侵害として訴えられる可能性が十分あります。

 

防犯カメラの導入には法律の知識を多少得ていないと、トラブルが発生してしまうなどの恐れがあります。先ほど紹介した近所の家が映ってしまうなどのトラブルは個人情報保護法という防犯カメラの設置・導入ともっとも深い関係性がある法律に触れています。

 

個人情報保護法に引っかからず近隣の方とも健やかな関係を保ったまま防犯カメラを利用するには、「防犯カメラの設置にともなう告知義務」についてしっかりと確認しておくことが必要になります。

 

防犯カメラ設置を周知する必要はある?

 

では、防犯カメラの設置を周知する必要はあるのでしょうか。それは、防犯カメラを設置する立場によって変わってきます。

経済産業省のガイドラインでは、特定の個人が識別できる映像を撮影する場合、原則として個人情報の利用目的を本人に通知・公表しなくてはいけないとされておりますが、「一般的に防犯目的のための防犯カメラ設置は利用目的が明らかと認められ、利用目的の公表の必要はない」としています。

 

さらに、家庭の防犯目的で防犯カメラを設置する場合は、「取得の状況から見て利用目的が明らかであると認められる場合」(18条4項4)にあたるので、自宅や私有地に防犯カメラを設置することを周知する必要はないといえます。

 

ただし、店舗に防犯カメラを設置する場合、その情報を取り扱う業者は「個人情報取扱事業者」として扱われるようになります。個人情報取扱事業者は防犯カメラの設置を明らかにする必要が出てくるので、店舗で防犯カメラを設置する際は「防犯カメラ作動中」などの張り紙を張り、利用客に防犯カメラの撮影を周知させる必要があります。もちろん、撮影する場所や対象、範囲が先ほど紹介したような場所を含んでいた場合は法律違反になりますので、そうした点でも気を配る必要があります。

 

トラブルが起きないためには

 

ご近所トラブルを起こさないようにするための対策はいくつかあります。

 

対策の一つ目は、「プライバシーマスクを使う」というものです。

プライバシーマスクとは、映したくないところに黒塗りができるという防犯カメラの機能の一つです。この機能は防犯カメラを設置した後、レコーダーを通じて設定できます。隣人の私有地が映ってしまうけど、画角などが変更できないというときにこれを利用すれば映像の任意の箇所を見えなくすることができます。

ただし、この機能がついているか否かはカメラのメーカーによって異なります。安いカメラにはついていないケースが多いため注意が必要です。ちなみに当社の場合ですと、真ん中と一番上の価格帯のカメラにこの機能がついています。

 

対策の二つ目は「ダミーカメラを使う」ということです。

ダミーカメラとは、文字通り映像を録画できない偽物のカメラです。このカメラを設置しておくことにより、強盗たちにためらいを感じさせ、犯罪抑制につなげるという効果が期待できます。

また、そもそもダミーカメラは映像を録画できないため、個人情報を取り扱う行為にそもそも触れません。このように、トラブルの原因となる「近隣住民の生活が映った動画」を最初からなくすことでこうした心配を避けることができるのです。

 

対策の三つめは「防犯カメラステッカーを使う」ということです。

先ほど紹介したように、敷地内のみを映す場合でしたら防犯カメラを設置しておくことを周知する必要は特にありません。ですが、あえて最初から防犯カメラを使っていることをわからせるためにステッカーを貼っておくと、ある効果が期待できます。

それは、仮に近隣住民が「知らない間に撮影されていた」と文句を言ってきたとき、このステッカーであらかじめ説明していたと弁明できるというものです。この方法は近隣住民のプライバシーを配慮しつつも防犯カメラの存在をアピールできる効果的な方法の一つですので、大きな効果が見込めるといえるでしょう。

 

対策の四つ目は「最初からご近所さんに相談する」というものです。

この方法は最も簡単なものですが、もっとも効果がわかりやすい方法とも言えます。

なぜなら、ご近所さんの許可を得れば最初からほかの敷地の映像が映りこんでいても安心して防犯カメラを利用できるからです。

それだけでなく、ご近所さんの敷地で強盗などの被害があったときにカメラの映像を提供するなどの約束を結べば、双方で防犯カメラを協力して有益に使うこともできます。

 

まとめ

 

以上が、防犯カメラのプライバシー侵害についての解説と対策の説明になります。防犯カメラは私たちの生活をより安全にしてくれる便利な機械の一つですが、同時にご近所さんの生活を不安にしたり親交関係を損ねる原因となってしまったりする恐れを持つという弱みもあります。適切な法律を踏まえて、ご近所さんの理解を得られるような対処をして、安心して防犯カメラを設置できるようにしましょう。

 

防犯カメラについて、何かありましたらスリーボーダーまでお気軽にご相談ください。

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